みんなの〈青春〉 思い出語りの50年史

石岡学

2024年2月刊行

四六判並製 224頁

定価(本体2,100円+税)

ISBN978-4-910790-17-6 C0095

 

“キラキラの青春”だけが、青春なのか?

太陽族、みうらじゅん、乃木坂46。様々なジャンルを横断しながら、私たちの自意識を刺激してやまない青春イメージを読み解く社会文化史。


 

教育の歴史社会学を専門とする著者による、学問とエッセイの面白さが同居した文化史。映画・テレビ・ポップミュージック・アイドル文化を横断しながら、青春イメージにせまる。世代を問わず、自身と照らし合わせて読める一冊!

 

青春に何らかのコンプレックスを抱いている多くの人に、気軽に手に取っていただければ幸いである」(本文より)

 

 

目次

 

はじめに 


◆第1章 謎を抱きしめて
青春の独特さ・奇妙さ 
近代のイデオロギーとしての青春? 
生きのびる青春 

◆第2章 さらば青春!?──七〇年代のターニングポイント
「青春」の誕生 
近代日本文学と青春 
「男の世界」 
青春はカネになる!?──映画のイメージ 
変質? 消失?──同時代の認識 

◆第3章 メディアに息づく「青春」
政治の季節のあと、テレビドラマがやってきた──六〇─七〇年代 
ダサさの象徴──八〇年代 
「ありのままの青春」が理想──一九九〇─二〇〇〇年代 
二人の世界で成り立つ青春──二〇一〇年代 
しぶとく生きのびるビルドゥングス・ロマン 

◆第4章 いつか振り返る日のために
成長物語の残滓 
何はともあれ、部活と夕日、そして恋愛 
記録と美化──ミッションに賭ける 
「いま自分たち青春してる!」

◆第5章 〈輝けない者たち〉のブルース
イメージと現実とのギャップ 
ないものねだりが原動力に 
「暗い青春こそ本物の青春だ!」 
輝きからも挫折からも遠く離れて 

◆第6章 アンチという名の王道をゆく
「青春っぽい青春」はハードルが高い 
地味な青春は描かれない? 
「底辺女子高生」の憂鬱? 
地味だからこそ価値がある!?
 
◆第7章 大人の結論─それでいいじゃないか、の心
反動から生まれる表現 
王道あっての「欠落」 
あの頃に戻れないからこそ 
それもまたよし、の境地 

◆第8章 恋愛至上主義の果てに
男女共学前夜 
「純潔教育」と「不純異性交遊」の時代 
「童貞」というスティグマの誕生 
恋愛至上主義の興隆から「若者の恋愛離れ」へ 

◆第9章 アイドルの辞書に“青春”の文字はない
「アイドル消費」=「青春消費」 
「フツーの人が羨ましい」 人気の絶頂で犠牲にしたもの 
「アイドル活動そのものが青春!」 

◆第10章 いくつになっても逃げられない
「青春とは心のありようである」 
元ネタの影響力 
「いつまでも青春だと思うのはバカげている」 
なぜ、最後に(笑)がつくのか 

◆第11章 さらば、青春
生き方が決まったとき青春は終わる? 
気づけば「大人」になっていた
「象徴」との惜別 

◆第12章 変わったもの、そして変わらないもの
変わる青春 
変わらない青春 
陳腐で特別な青春 

おわりに 
参考文献 

 

石岡学(いしおか・まなぶ)

1977年生まれ。京都大学総合人間学部卒業、同大学院人間・環境学研究科博士課程修了。同志社大学文化情報学部助教などを経て、京都大学大学院人間・環境学研究科准教授。専門は教育の歴史社会学。近代日本を対象に、入試や就職といった教育と選抜をめぐる現象や、子ども・若者イメージの社会的構築などを研究している。『「教育」としての職業指導の成立』(勁草書房、2011年)で第5回日本教育社会学会奨励賞(著書の部)を受賞。著書に『「地方」と「努力」の現代史』(青土社、2020年)、『男女共学の成立』(六花出版、2021年。小山静子との共編著)などがある。