植物考

藤原辰史

2022年11月刊行

四六判並 240頁

定価(本体2,000円+税)

ISBN978-4-910790-07-7 C0010

 

今もっとも注目される
歴史学者の新機軸

人間は何より高等な生命だと私たちは思いがちだ。だが、それは真実だろうか?歴史、文学、哲学、芸術を横断し、ありうべき人間の未来をさぐるエッセイ。


 

目次

 

◆第1章  植物性

植物と人間の違い 

植物性

植物は動かないのか 

炸裂

人間の根と葉 

 

◆第2章  植物的な組織

出町柳の根性松 

植物の知性について 

マンクーゾの描く植物的な未来 

植物的な政治?

評価機構なき組織化

マンクーゾを超えて 

 

◆第3章  大気のクリエーター

コッチャの「植物の哲学」

枯葉剤

大気と太陽 

浸り 

「浸り」を買う時代

 

◆第4章  植物の舞踏―ブロースフェルトの『芸術の原形』に寄せて

ブロースフェルトの写真 

ベンヤミンの評価 

建築物としての植物 

彫刻作品としての植物 

踊りとしての植物 

『芸術の原形』が教える植物論

 

◆第5章  根について

起死回生 

根の形態 

植物恐怖症 

ハンナ・ヘーヒ 

立てこもる庭 

ヘーヒの植物の絵の特徴 

嵐の時代の根毛 

 

◆第6章  花について

花束について 

劇場としての花 

理性としての花 

 

◆第7章  葉について

「モンステラ王」 

裂ける葉 

食べられる葉 

飛翔できない鳥 

植物性の青い針 

葉のない植物 

冷却装置としての葉 

ゲーテにとっての葉 

教訓詩「植物のメタモルフォーゼ」 

空気間隙 

植物の多孔性 

 

◆第8章  種について

種とはなにか 

種と風船 

植物と歴史学 

植物と帝国主義 

『植物と帝国』 

種に振り回される人間の歴史 

バジルの慈悲 

『種蒔く人』のなかの植物 

理草花 

思想を食べる 

吸水と酵素 

血と土を超えて 

 

◆第9章  「植物を考える」とはどういうことか

植物らしさの在処 

完全菜食主義者の「植物中心主義」批判 

植物の権利 

植物の美 

植物を食べること 

スキン・プランツ 

 

あとがき

 


藤原辰史ふじはら・たつし) 

1976年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。専門は農業史、食の思想史。2006年、『ナチス・ドイツの有機農業』(柏書房)で日本ドイツ学会奨励賞、2013年、『ナチスのキッチン』(水声社/決定版:共和国)で河合隼雄学芸賞、2019年、日本学術振興会賞、『給食の歴史』(岩波新書)で辻静雄食文化賞、『分解の哲学』(青土社)でサントリー学芸賞を受賞。著書に、『カブラの冬』(人文書院)、『稲の大東亜共栄圏』(吉川弘文館)、『食べること考えること』(共和国)、『トラクターの世界史』(中公新書)、『食べるとはどういうことか』(農山漁村文化協会)、『縁食論』(ミシマ社)、『農の原理の史的研究』(創元社)、『歴史の屑拾い』(講談社)ほか。共著に『農学と戦争』、『言葉をもみほぐす』(共に岩波書店)、『中学生から知りたいウクライナのこと』(ミシマ社)などがある。